What stays with us often begins before words.
LOWPOSITIONのディレクター中村さんと初めて打ち合わせをしたのは、昭和の空気が残る喫茶店だった。その場で印象的だったのが、学生時代に京都の古い映画館で観た『東京物語』の話だ。

監督 小津安二郎が多用したローアングル=LOWPOSITION。
畳に座った目線に近い高さに徹底して置かれたカメラが、人の動きや空気、関係の機微を静かに捉えていく。
それまで観てきた映画とは違う臨場感があり、言葉で説明しきれない何かが確かに伝わってきたという。
その体験が、何十年も経った今、LOWPOSITIONというブランドの出発点につながっている。

LOWPOSITIONとの縁は、それ以前にさかのぼる。
もともと私はESTNATIONに通う客で、そのマネージャーが立ち上げたセレクトショップがLOWPOSITIONである。
その流れから、公式サイト、ECサイト、ビジュアル撮影まで、フルスコープで関わることになった。

強いブランドの核には、必ず本人の原体験がある。
すぐに言語化できなくても、身体感覚として残っているものが、時間をかけて輪郭を持ちはじめる。
それは後から都合よく作れるものではない。

視点が変われば、見えるものも変わる。
LOWPOSITIONが掲げる考え方は、yourHeadlineが大切にしている姿勢とも重なっている。
答えはどこか遠くにあるのではなく、見方を変えた先に、すでにそこにある。
私が Not made. Found. という言葉を掲げるのは、そのためだ。
新しい何かを無理に付け足すのではなく、その人や事業の歴史の中に、すでに刷り込まれている原動力を見つけたいと思っている。
どのブランドにも、その人の、その事業の歩みの中に、すでに見出しはある。
それを観察し、つなぎ、顕在化していくこと。
LOWPOSITIONのディレクターが、あの昭和の喫茶店で話してくれた映画の記憶は、まさにそのひとつだった。
